(改定)

山梨県・山梨県土地開発公社
平成17年3月24日

【1】山梨県土地開発公社の現状
平成12年当時、バブル崩壊後の長引く景気低迷により地価の下落が続き、地価の継続的な上昇を 前提とした土地開発公社の経営は全国的に極めて厳しい状況にあり、抜本的な対策が必要となった。
山梨県土地開発公社(以下「公社」という。)においては、平成13年3月に懸案土地の抜本的処理方針の 明確化及び経営方針の見直しの2点を柱とした経営再建計画を策定し、懸案土地の早期処分や県による買い取り、 米倉山ニュータウン造成地の簿価を抑制するための県から公社へ対する無利子貸付け、3公社の管理部門の 一元化による経費の節減など経営再建に取り組んできた。
その結果、懸案の長期保有土地である旧河口湖町地内の公有地、山梨ビジネスパーク等については順次 処分が進んできた。
しかしながら、米倉山ニュータウン造成地は具体的活用策が見い出せず、八田御勅使南及び三珠町大塚の 2地区の拠点工業団地は一部分譲が進んだものの4区画が残っている。
また、市町村合併の進展や公共事業等の縮小などに伴い、公有地取得事業の減少など公社の経営は引き 続き厳しい状況が続いている。


【2】経営再建計画の改定について
経営再建計画については、県出資法人見直し計画(平成15年3月策定)において、新たな再建計画を平成 16年度中に策定することとされていることから、次の「経営方針」のもと公社の更なる合理化及び効率化を図る ため、現計画を改定する。
今後とも、県と公社が一体となって引き続き経営再建を進めるとともに、改定内容については、状況の変化に 応じて必要な見直しを行うものとする。


【3】経営方針
(1) 未分譲の地区拠点工業団地については、今後5年間で分譲を完了することを目指すとともに、業務量が 減少する中で、人員の削減等による経営合理化対策を進める。
(2) 米倉山ニュータウンについては、この用地を公社が持ち続けることは経営再建の大きな障害ではあるが、 県が再取得することは財政的にも困難な状況であることから、借入金による金利負担を避けるため、引き 続き必要な財政支援を行いつつ、様々な角度から活用策の検討を進める。
(3) 市町村合併の進展や公共事業等の縮小に伴い、公社業務を取り巻く環境が大きく変化していることから、 公社の今後の運営は極めて厳しいことが予想される。
このため、今後の公社のあり方について、環境の変化に対応して公社業務の役割を見直す中で、その 存廃を含め検討を行い、方向性を出していくこととする。

【4】計画期間
平成17年度〜平成21年度(5年間)

【5】実施方策
(1)米倉山ニュータウン
  I.現状

面積は44.7haで、造成工事については防災等に配慮した粗造成に止めている。
簿価は、平成12年度末には用地取得費、工事費、金利等で152億円余に達し、 それ以降県の財政支援により簿価の上昇を抑えてきたものの実勢価格との 大幅な乖離が見込まれている。
活用策については、平成13年12月に民間有識者で構成する検討委員会から 提言を受け「エコパーク用地としての活用」などの検討も行ってきたが、現時点に おいては新たな活用策が見いだせない状況にある。

  II.処理の方向

借入金の金利負担を避けるため、引き続き必要な財政支援を行いつつ、様々な角度から活用策を検討していく。
借入金による金利負担を避けるため、次の措置を講じることとする。
  • 一般会計から50億円の短期無利子貸付け、土地開発基金から20億円の長期無利子貸付けを 引き続き実施する。
  • 金融機関からの借入金約80億円の支払利息に充当するため、公社の駐車場用地として 貸し付けている土地貸付料は、引き続き全額免除とする。
  • 現在民間金融機関から借り入れている約80億円(金利0.9%) は、18年3月には償還期限を 迎えることから、引き続き債務保証を行うとともに借換え金利の動向によっては必要な措置を 検討する。
平成17年1月に土地開発公社経理基準要綱が改正され、平成17年度には、未成土地についても 時価評価とされることに伴い、簿価と実勢価格との差額を特別損失として計上することとなる。
米倉山ニュータウンについては、県が主体となって計画し、借入金について債務保証を行っており、 今後生じる事業損失について補てんを行っていく必要がある。しかしながら、財政状況も厳しいこと から、当面、従来どおりの支援策を継続し、企業の立地状況や財政状況を勘案した上で、具体的 対応策を引き続き検討することとする。

(2)地区拠点工業団地等
  I.現状

平成14年度に櫛形地区拠点工業団地が、また、16年度には山梨ビジネスパークや牧丘工業団地の 分譲が完了した。八田御勅使南(2区画4.3ha)、三珠町大塚(2区画6.2ha)の4区画が未分譲である。

  II.処理の方向

分譲については、県、地元の市町と連携して、平成17年度から5年間で分譲を完了することとし、 三珠町大塚の未成土地については、平成17年度に造成工事を行う。
分譲価額については、平成16年度に実勢価格に見合った額(平均20%引き下げ)に設定したが、 今後も実勢価格の推移に応じ変更する。
分譲に伴う事業損失については、地価変動等調整引当金等で対応する。

(3)公有地取得事業

公社は、県、市町村等に積極的に働きかけ事業の確保に努めるものとする。
公社が長期にわたり土地を保有することがないよう、用地の再取得時期、再取得価格の 算定方法等を明確にした書面による契約を取り交わした上で、事業展開を図るものとする。
適切な経費を算定し、適正な利益を確保するものとする。

(4)土地造成事業

新規の大規模な工業団地造成については、引き続き凍結する。
しかし、市町村等からの依頼により地区拠点工業団地等について事業を実施する場合は、 公社と依頼主である市町村等で、計画、販売、買取り等について、双方で十分検討・協議を 行った上で、損失が生じた場合の依頼主の責任や一定の時期までに処分できなかった 場合の依頼主による買取時期、買取価額などを明示した書面による契約を取り交わし、 それぞれの責任を明確にした上で、事業展開を行うものとする。
造成方法については、面積、区割り等、企業の意向に応じ、「オーダーメード方式」とする。
また、適切な経費を算定し、適正な利益を確保するものとする。

(5)附帯等事業

駐車場事業については、紅梅地区市街地再開発計画の進捗状況などを見守りつつ、 当面、利用台数が減少傾向にあることから、月極駐車区画を増やすなどの増収対策を行う。

【6】経営の合理化と透明化等
退職者の不補充や3公社の管理部門の一元化を行うことなどにより経営の合理化に努めて きたが、近年の公共事業等の縮小に伴い、公有地取得事業やあっせん事業が減少傾向に ある中で、公社の経営は一段と厳しいものとなっている。
今後、業務量を見直す中で、更なる組織体制のスリム化や経営の合理化を進める。
また、長期的な視野に立った事業展開を行うため、概ね5年間の収支見通しを作成すると ともに、その見直しを適時適切に行う。

(1)組織体制等の見直しと人件費の削減
  I.人員削減について

今後の適切な業務量を検討する中で、職員の退職不補充に加え、早期退職制度を導入し、 職員数の適正化を図る。
現在の役職員21人(平成16年4月1日)については、平成21年4月1日を目途に5割程度の 削減を目指す。

  II.給与の見直し

平成17年度から役職員の給料、報酬等の見直しを行う。 公社職員の給料について、現在適用している給料表の5%の額を削減する。 また、役員の報酬及び管理職手当については、10%減額する。 業務の見直しを行う中で、時間外勤務手当について、18年度までに20%削減する。

(2)情報の公開

財務状況並びに工業団地等の分譲状況等の情報を広く周知するため、インターネットを 通じた情報提供を引き続き実施する。
平成17年4月から県の「山梨県個人情報保護条例」の改正に伴い、公社においても 「個人情報保護に関する規程」を制定し、公社が取り扱う個人情報に関して利用目的 による制限や安全管理措置など必要な事項を定め、個人の権利利益の保護を行っていく。

(3)借入金利息の軽減

民間金融機関からの借入条件の設定に当たっては、低利資金の借り換えに努めることとし、 借入先の選定に当たっては入札制度などによって競争的措置を講じるなど、金利等の 軽減に努めるものとする。
また、自己資金等の活用によって民間金融機関からの借入れを可能な限り縮小する。

(4)取得土地の有効利用

取得した土地を処分するまでの間、積極的に暫定利用を推進し、遊休状態の回避を 図るとともに、近年、企業が初期投資を抑制するため土地のリース希望が増えている ことから、分譲方式に加え賃貸制度の導入も併せて検討する。

印刷の際にはPDF形式をご使用下さい